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迷彩とストリップ劇場。

 米軍のユニホームが好きだ。どう考えても無駄のないシン
プルなデザイン。頑丈さ。色。迷彩柄(カモフラージュ)な
どは年代によってちがい、ぼくはウッドランドというカモフラ
の大ファンである。
 以前、もうだいぶ以前であるが、当時つきあっていた彼女に
ウッドランドの傘をプレゼントされたことがある。ぼくが札幌
に出て来てすぐのときだと記憶するがとてもいい傘だった。
持ち手と先っちょの部分にマホガニーなんかの雰囲気のある
木を使用したカモフラージュの傘。今はあまり見かけない。
想いのつまった傘。

 友だちに誘われて、当時、すすきの0番地にあったストリッ
プショーを見に行ったことがある。雨の降る寒い日だった。
くるくる回る舞台の上から踊り子にウインクされて胸がドキド
キした。付けまつげというものをそのとき初めて見たぼくは
自分の彼女とはずいぶん趣のちがう胸のデカイ踊り子をすこし
軽蔑した。友だちはいちばん前の列の真ん中でかぶりつくよう
に彼女の股間に顔を埋めていた。
 初めてストリップというものを見たぼくらはすこし大人になっ
たような気がした。外はもうすっかり晴れていた。0番地の
横にある〈みよしの〉でカレーを食べぼくらは別れた。
 家に帰ると彼女は鼻歌を唄いながら台所で野菜を洗ってい
た。彼女はとても家庭的でぼくにはもったいない美人だった。
「映画どうだった?」と彼女はぼくに訊いた。ぼくは友だちと
映画を観に行くと嘘をついてストリップを見てきたのだ。
「ああ、面白かったよ。」そう言ったとき、ぼくはハッとす
る。傘をストリップ小屋に忘れてきたことを思いだしたのだ。
恥ずかしくて取りに戻ることもできず、次の日、映画館に忘れ
た傘を取りにいったが無かった、と彼女に嘘をついた。

 いま、ぼくは部屋の壁に掛けてある米軍のジャケットを眺め
ながら彼女のことを想いだしている。野菜を洗いながら機嫌
のいい彼女のエプロンがぼくの記憶の向こうで揺れていた。
 ぼくはまだひとりで居るんだ。母さんはたびたび「彼女は
どうしてるんだろねえ?」などと訊くことがある。「どの
彼女のことだよ?」とぼくが言うと、母は呆れたように窓の
外に目をなげた。本当は孫でも抱かせてやることができれば、
あと何年かは長く生きてくれるのかなあ、

 迷彩のジャケットを眺めながら、そんなことを想う。ストリ
ップ小屋に忘れた傘のことは誰れにも言えない。


HOBO

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Mr.HOBO

Mr.HOBO

ちょっと病気をし
凹んでるとき、
ひょんなことから
1974年製のワーゲンを
手にいれた。
車庫で30年も眠っていた
オレンジ色のワーゲン。
命を吹き込んで
一緒に走ろうと思った。

これは
少年HOBOの
ゆる~い日記だ。

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