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妥協するなら死んだほうがましだ。

 ぼくがいつも言っている、〈妥協するなら死んだほうがまし〉という
言い回しの意味なんだが、おそらく勘違いされていると思うのでちょっと
だけ触れることにする。
 それは、なんでもかんでも高価なものを求めたり、贅沢をするという
意味ではない。日本がどこへ行っちまうのかわからない、この大変なとき
に、コーヒーカップのことを書いているのだから不真面目でノー天気な
男だと思っているひとも少なくないのであろう。
 毎日この一瞬の過ごし方を考えたとき、ひとは妥協の繰り返しだと思う。
ぼくのいう妥協とは、自分で決めたことに対しての妥協のことをいう。
あきらめることは最も悪いことだ。あきらめることと、我慢することは
ちがうのだ。
 なんでもそうだ。十割のソバが食べたければ絶対食べたほうがいい。
きょう奈良から金沢まで行くと決めたのならなにがあっても行くべきだし、
友人を大切にしたいと思うなら厳しいことも言ってあげるべきだと思う。

 九谷焼きの現場はすさんでいた。たずさわる人たちの言葉が前向きでは
ない。ぼくはたまたま陶芸村で見た桜の花びらを描いた70歳の作家の
絵が気にいったので、直接その作家と話をさせてもらった。九谷は生地を
作るひとと絵を描くひとがちがう完全分業のシステムを取り入れている。
したがって絵を描くひとは多少気にいらない生地(カップ本体)でも
文句も言わずにそこに絵を描いていくのである。当然コストを抑えるため
に、同じ生地を何個もつくるわけだから絵がちがうだけで同じカツプは
そのへんにごろごろ存在するのだ。
 今はそんな時代ではないのでなんでも安くあげることが日常らしい。
必ず「予算はどれぐらいでしょう?」そこから入るのだ。びっくりするの
はどこの店でもついている値段の半額にまで値引きする。店と絵師と生地
屋でセッパンするのだから利益なんか知れているだろう。
 ぼくは言いにくいことを言うべきだと思ったので言ってしまった。
「どうして自分の絵を描くのに生地屋に注文をつけないんですか?わたし
の絵にはこんな生地がいい。もっとこういうカタチのここんところのこう
なった、こんなじゃわたしの絵が活きてこない!そんな風にどうしてもっと
厳しくならないんですか?妥協するなら死んだほうがましでしょう!」
 生地を作る側も同じことが言える。
「わたしの生地を活かす絵を描いてくださいよ!ふたりで最高の作品を
創ろう!」
そんなふうに琢磨すべきだ。販売店にしても同じ。高くてもいいものを
売るという姿勢を貫かなければ九谷は衰退してしまう。

 ぼくは絵師と生地屋と販売店の店主の前で「たとえば」という曲を唄
ってみせた。けして自分の作品には妥協をいれない。自分の言葉で、
自分の声で、自分の演奏で、どこにも妥協をいれるこはないのだ。唄う
ことは生き方であり自分そのものなのだから。
「そこでひとつわたしからの提案なんですがね?」
ぼくは70歳の絵師にお願いしてみた。
「あなたの絵がスキなんですよ。あなたの絵が最も活きる生地を、あなた
に作ってもらいたい。多少いびつであってもあなたそのもという作品が
ほしい」
絵師は、
「わかりました!やらせてください!」
そんなふうに言う70歳の絵師の目は輝いていた。

 なにごとも当たり触らず、自分のなにを守ろうとするのか、生きるこ
とは妥協することなのか?ぼくは違うと思う。とくにモノ創りのエリアに
妥協は許されないぞ。自分に有利なひとにぺこぺこし、ぶらさがるだけ
ぶら下がる。ぼくはそんな生き方は選ばないぞ。妥協することに慣れて
しまうと、目標設定も低いハードルになる。もっともっと志しを高く。
日常は妥協の繰り返しか?おまえはそれでも生きてるのか?ただ息をして
いるだけじゃないのか?

 妥協するぐらいなら、死んだほうがましだ。
死にたくないから妥協はしないぞ。もっと、もっと、もっとだ!
生きることに妥協するなといいたい!


HOBO

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コメント

タイトル
HOBOさん。いいですね!
70歳の絵師さんとのお話。
わかりますよ。HOBOさんの心意気。
その方も、久しぶりに、はっとなさったんじゃないでしょうか。
日本のものづくりよ。目覚めてくれ!ですね。

私も、娘には、小さい頃から、できるだけ本物を与えてきました。
色鉛筆やパステルだって12色のやつ(それも悲しくて好きですが)だけでなく、
60色入りとか。画家が使う本物のパステルは、木箱入りで
120色くらいあったかなぁ。
絵本も、わたしの美の基準に合ったものじゃないと与えなかった。
シンプルでもいいものとか、洋書の珍しいもの。
娘は、みんなと同じものも欲しくて、ごく小さい頃は悲しかったようですが、
だんだん大きくなっていくにつれて、『ママの基準が分かるようになってきた』
と言います。私がむっと黙っている時は、ああ、だめなんだな、と!(笑)

でも私、自分のものにはお金かけないのよね。(笑)
お化粧も、千円ちょっとくらいの化粧水一本と口紅だけで済ませちゃうし、
着るものも、千円くらいのTシャツと二千円くらいのジーンズとか(爆)。
HOBOさんがおききになったら、のけぞっちゃうかも。^^
あとは自分で縫ったものだな。オーバーでもなんでも自分で縫う。
自分で作るものが一番、自分に似合うものがわかるから。

でもね、本物の良さはわかりますよ…。
鞄とか、靴とか、眼鏡とか器とかね…。
HOBOさんの文章読むと、いつも反省するわ。
そういうこだわり。とてもすてきだと思います。
 


九谷焼
こんにちは!
九谷焼とは思いもよりませんでした。なにかHOBOさんに訴えかけるものが、
九谷焼にあったということでしょうね。九谷といえば絵が命、
という感じもしますが、器も大事だというのは本当ですね。
絵師の方、奮い立ったんじゃないでしょうか。

乙山は焼物では備前が好きなんですが、
コーヒーカップと備前焼はあまりイメージが合いませんね。
ガラス質の多い、硬質の焼物のほうがいいのかな。
新潟の佐渡に無名異焼というのがありまして、
非常に硬質で、酒器としては抜群でした。
コーヒーには合わないかもしれませんね。

ブラックコーヒーの色、そしてミルクやクリームを入れた茶色。
それらを生かす器って、やっぱり白磁でしょうかね。
彼岸花さんへ
おそようございます、彼岸花さん。
卒倒中なのに、コメントありがとうございます。
その、木箱入りのパステル、いいじゃないですかあ。
いまでもあるんでしょうかね?
娘さんは彼岸花さんの最高傑作ですから、
美の基準はまちがいではなかったということですよ。素晴らしい。

美の基準といえばボクのお腹のことなんですがね、
とても美なんてもんじゃないです。美を追求するならそのお腹なんとか
したら?と母によく言われますよ。マニアのようにダイエットでも
すればなんとかなるのに、自分に甘いんです。そのへんが矛盾というか、
お茶目なHOBOでございます。笑

いやいやそうじゃない、
本当にお洒落な人は980円のシャツなんかもウマく着こなしますよ。
元がしっかりしてるのでいいんですよ彼岸花さんは。へへへ。
なんでも手づくりでやっちゃうなんてスゴいと思いますよ。
オーバーなんかも肩のあたりだとか、襟のつきかただとか、立体的に
できるもんなんでしょうかね?ちょっと薄手のツイードのオーバーなんか、
この秋に着てみたいものですね。完全自分オーダーなんて、なんてステキな!

本物ねえ、
じつはですね、なんでもそうなんですが、
本物を買うほうが安上がりなんですよ。
長く使える、買い替える必要がない、そしてなによりロマンテックである。
チョイスするという優越感が自分らしくていいんですよ。
全部自分に還ってくる。結局、自分が好きなんだということです。
このお腹なのに。
がはは、、

HOBO
乙山さんへ
乙山さん、コメントありがとうございます。
梅干し完成のご挨拶もせず申し訳ない。乙山さんのチャレンジ精神に
ただ感心します。

さて、九谷焼きのことなんですがね、じつはそれほど好きなものでは
ありません。笑
もっといいものならタクサンあります。
この70歳の主婦作家さんなんですがね、生まれた時代が時代ですから、
聞くと色んな苦労をした方なんです。そんな時代を生き抜いた方ですから
描く絵が優しいんですよ。九谷伝統の赤絵とはちがうんですが、
ちょっとグッとくるものがあったんです。家業の合間をぬって描く絵ですから、
そして九谷のシステムに遠慮しながらバランスよく生きてこられた方なんです。
「いや、あなたはもっと強い自己主張をしたほうがいい。
あなたの絵にふさわしい生地があるはずだ!本当の分業とは、あなたの
絵、専用の生地師を持つことですよ!」
なんて、勝手なことを言ってしまいましてね。
鳩が豆鉄砲みたいな、顔してましたよ。
「そのへんの厳しさの追求が足りないんですよ。安く上げるためには、
それが一番の課題なんですから、淋しいですよ。」
そんなふうにおっしゃってました。
総理大臣賞をとった作家さんなどは、直接、伊勢丹だとか地方の有名デパート
なんかとやり取りしているようで、このような主婦作家さんたちの夢など
ちっぽけなものなんですね。
乙さん、この方のカップソーサーは定価15000円なんですよ。
魂の絵が15000円ですよ。販売店、生地師、絵師、3で割ると5000円。
高尚すれば半額になってしまうんですから!
総理大臣賞だかの作家の作品は30万円もする。専用の生地師ももっている。
なんかブルースしてるんですよ、この70歳の絵師さん。
ぼくの魂の漆黒のエキス。あなたのカップでいきましょう!
喜んでましたよ、だから旅はいいんですよ。

HOBO
タイトル
とてもニヤニヤしながら、拝読しておりました。
(o^―^o)
語りが入ると、この記事分のコメントになりそうですが、多分、かえるままもHOBOさんと同じ人種だと思います。
器もいいですよね。
モノ達は、運命的でもあり、完全に赤い糸によって、HOBOさんのもとに来るんですね。
かえるまま21さんへ
コメントありがとうございます。
モノの話のように聞こえますがね、おわかりだと思いますが、
これはとても大切なことで、人間のこころの奥深い話といういか、
人間はチョイスし、チョイスされる、そうです、それが運命だと思っています。
だから選んでくれる人にふさわしい人間にならないといけない。
器もいい、ぼくは〈玉川堂〉の鎚起銅器にぞっこん。
職人の魂が入ってますよ。

HOBO

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Mr.HOBO

Mr.HOBO

ちょっと病気をし
凹んでるとき、
ひょんなことから
1974年製のワーゲンを
手にいれた。
車庫で30年も眠っていた
オレンジ色のワーゲン。
命を吹き込んで
一緒に走ろうと思った。

これは
少年HOBOの
ゆる~い日記だ。

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