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永遠のゼロ。

母が肩をゆらしていた。昨日と今日、テレビで『永遠のゼロ』を
やっていてそれを観て泣いていたのだ。「この戦争はまちがいだ
った、、、」と、何度もつぶやきながら母は泣いた。
日本は焼け野原から這い上がり、深い教訓を抱きしめながら発展
を遂げてきた。母の言うように「この戦争はまちがいだった、、
、」という後悔の念が人のこころを強くし優しくもしたのだと思
う。海の向こうのあちこちでいまだに戦争が起きている。世界中
の人たちがみんな幸せに暮らすためには、まず武器を捨てること
だ。永遠のゼロ、宮部久蔵のように、誰かの身代わりになり死ん
でいく勇気などもてる自分ではない。というか馬鹿げている。ど
れだけ命の無駄遣いをしたことか。だからせめて自分の命だけは
大切にしよう、頑張って生きなけりゃ、ただただ申し訳ないと思
う。

ひとのために、、、それはそれができてからいうことだ。


HOBO

映画の中のミリタリージャケット。

最近またオシャレな女の子たちがMAー1を着だしたようだ。ち
ゃんと501をはいてアイリッシュセッターなんかを合わせるあ
たりはなかなかのもの。いつの時代もわかったヤツはいるもので
頼もしいかぎりである。MAー1のホンモノはレプリカとはかな
りシルエットがちがう。1950年代の裏地がグレーのものは少
なくなった。持ってはいるが重たくて疲れてしまう。街で見かけ
る洒落た女の子は裏地がオレンジのものを着ているようだがシル
エットがどうも70年代のホンモノに見えた。じつはその時代の
ものが個人的にはいちばん好きで僕は押し入れに何枚も持ってい
る。MAー1はじつにカッコいい。

僕の部屋にはヘミングウェイとデニーロのでかいポスターが飾っ
てある。ヘミングウェイはすりきれたツィードのジャケットを着
てニットの帽子をかむり手帳を開いて眺めている。デニーロとい
えばモヒカン頭にサングラスでMー65ジャケットのポケットに
手をつっこんでいた。映画『タクシー・ドライバー』のデニーロ
はカッコいいな。デニーロは映画のなかでMー65ジャケットと
タンカースジャケットを着ている。映画『ハンター』で着ている
マックイーンのMAー1にしてもそうだが、どうして軍モノのジ
ャケットはカッコいいんだろう。着るひとがいいからだ?ああ、
たしかにそうだ、しかしそれらの服はちゃんとしたベーシックと
いう個性を持っている。誰でも着こなせるものではないが自信を
もって着れるひとにはかなり自由なアイテムだろう。

大阪に≪マッシュ≫というミリタリーショップがある。日本で最
もマニアックなミリタリー専門店だが、昨日そこの社長から電話
がかかってきた。≪Mー65ジャケット≫のセカンドタイプを復
刻したので連絡をしました、と社長。あまりこのようなところで
こういうことはライバルが増えるので言いたくないのだが、社長
の作るものは完璧というか、実際にアメリカ軍の工場にあった当
時の生地を使ったり幻のファスナーなんかもふつうに使ったりし
て当時のままの製法で当時と同じ糸、同じ寸法で作るものだから
ホンモノと見分けがつかない。現代風にアレンジされたチャラい
ものとは根性がちがうのだ。ホンモノにかぎりなくちかいニセモ
ノほどにくらしいものはなく、僕がもっとも嫌うものであるが、
なぜか社長とはウマがあう。究極のニセモノはお茶目さん。もは
やレプリカではない。

押し入れからぺったんこになったMAー1をとりだした。70年
代のアルファ社。ホンモノのようなニセモノだ。しかし、このふ
くらみの独特感はかなりイケている。ヘミングウェイとデニーロ
にはおやすみなさいと言った。明日、MAー1を着て散歩をしよ
う。月曜日は病院だ。

そういえば、
『レオン』で、マチルダもMAー1を着ていたな。


HOBO

『いろはの、い』

病院に行く途中、街のオーディオ屋に行ってきた。昨日で雪まつ
りが終わり外人さんがめっきり減った大通り公園を横切り、テレ
ビ塔の前を通って。

アルテックのA7の中古が40万円で売っていた。70年代に全
国のジャズ喫茶でよく使われていた国産箱の比較的新しいスピー
カーだ。持っていたマイルス・デイビスの『ESP』を試聴させ
てもらったがそこの店員の態度の悪いこと。仕事ができることに
感謝している顔ではない。オーナー感覚のない社員をおいておく
と会社を潰される。残念だがまちがいないことだ。代理業務の意
味を問うてみたかったがやめておいた。A7はやはりふにゃふに
ゃでドラムの音がリズムマシーンのようだ。昔のジャズ喫茶はこ
んな音をボリューム全開で聴いていたのだろうか?A7の音じゃ
ない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

モノーラルのレコードをモノーラル専用のカートリッジで聴くと
素晴らしいときいてはいたが先日<札幌音蔵>さんでじっくり楽
しませていただいた。スピーカーは16Ω、オリジナル箱のA7
だ。ちょうど気の合うマニアの先生がいたので意見もきくことが
できた。その先生に言わせるとカートリッジをモノとステレオに
別けて聴くのは『いろはの、い』だそうだ。こんな環境でいつも
試聴させてもらえる僕は幸福者で、耳は肥えるばかりである。音
の厚みといい、艶といい、まるで演奏者がそこにいるようで、く
らっときた。先生は「死にそうでしょ?」と、僕に訊いてきた。
「ええ、即死ですよ。」と応えるとニヤッと笑った。しかしこれ
は笑い事ではなく、演奏者の意図にもっとも近い、レコーディン
グというライヴだった。

毎日妥協をいれず質の高いものを追及すれば感動のレベルがあが
ってくるんだ。僕は何度も書いた曲をゴミ箱に捨ててきた。いぜ
ん感動できた自分に今は感動できないからだ。自分より甘い心を
もった奴らとは肩を組むことはない。良いものを見たり聴いたり
して死にそうになるというのは、おそらく今までのふやけた感性
が死ぬという意味なんだと思う。僕は稼いだカネを全部使ってで
も新しい自分に会いたい。たしかにいつか出会うであろう未来の
嫁さんには迷惑な話だな。だかそれは、申し訳ない、
『いろはの、い』なのだから。


HOBO
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今回、札幌音蔵に持ち込み試聴させていただいたレコード

・THELONIOUS MONK/PLAYS DUKE ELLINGTON
・TAL FARLOW/TAL
・PIKE'S PEAK/THE DAVEPIKE QUARTET
・ELLA FITZGERALD & LOUIS ARMSTRONG/ELLA AND LOUIS


Thank you ! onzo .

浮気者は天井を眺めている。

マーチンの000サイズのギターがたいへん良くなった。201
3年までのモデルはヘッドのマーチンロゴもシールみたいなもの
を貼りつけていたが2014年からはオールドタイプのプリント
になったしペグもオープンタイプのものに変更されいちだんと見
映えがいい。若いころはドレッドノートとよばれるDタイプにあ
こがれブルーケースの取っ手に飛行機の荷物のタグをたくさんつ
けてススキノを歩いたものだ。地下街に玉光堂という楽器屋があ
りいつもそこで遊んでいた。マーチンには独特の匂いがあった。

000(トリプルオー)というのはマーチンギターのサイズのこと
で、0がいちばん小さく次が00、000は3番目に小さい。じ
つはOMというのも000と同じサイズだがボディ厚と弦長がす
こしちがう。僕の持っているOMー42もかなりいい音がするが
000ー18が気になっている。むかしはいかにもフォークギタ
ーっていう感じが好きでなかった。しかしいまはちがう。あの指
で弾いたときの柔らかさがたまらないのだ。マーチンの日本代理
店である黒沢楽器の担当者から電話がきて、オールマホガニーの
000を特注しないか?と言ってきた。タイミングよすぎじゃな
いの?どうして今この体調のよくない僕に対してあこがれのスタ
イルの提案を!

僕は押しの強い営業マンはキライではない。熱心だというのはい
いことだ。僕は自分より熱心な担当者からしかモノは買わないと
決めている。でもな、僕はいまピアノに浮気している。それも駆
け落ちするくらい愛してしまった。ぽろんぽろんと甘い音のする
マホガニーの000はそりゃいいに決まってる。しかし、まず、
この身体をなんとかしないとぽろんぽろんもないだろう。不安な
夜だ。ヘッドホンをつけて天井を眺めている。モンクのピアノが
みょうに沁みる。


HOBO

三角屋根の古い家。

LPのジャケットがカッコいいと書いたが、1994年にチャー
リー・ヘイデンとハンク・ジョーンズが2人だけでレコーディン
グした『STEAL・AWAY』のジャケットはじつに素晴らし
い。左右対称の古い三角屋根の家がまんなかに大きく写っていて
、屋根のてっぺんにサンタクロースが平気で入れるほど太い煙突
がたっている。玄関をはさむように上下にひらく縦長の窓がふた
つあり窓の下にひしゃげた木のベンチが置いてある。ぼくは子供
のころいつもこんな絵を書いていた。こんな家に住みたいと思っ
た。

このアルバムは内容もじつに素晴らしく、黒人霊歌、讃美歌、フ
ォークソングなどを素材にチャーリー・ヘイデンのウッドベース
とハンク・ジョーンズのピアノが仲のよい子供のように遊ぶのだ
。録音時すでに76歳だった御大ハンク・ジョーンズのピアノは
やさしいな。まちがいなくぼくのお気に入りベスト10に入る名
盤だと思う。

海のむこうで悲しい事件がおきた。他人事ではないことは知って
いるさ。だからぼくはさほど飲めもしないバーボンをなめながら
今このアルバムを聴いている。すこしはやさしい気持ちになれる
だろう。


HOBO

profile

Mr.HOBO

Mr.HOBO

ちょっと病気をし
凹んでるとき、
ひょんなことから
1974年製のワーゲンを
手にいれた。
車庫で30年も眠っていた
オレンジ色のワーゲン。
命を吹き込んで
一緒に走ろうと思った。

これは
少年HOBOの
ゆる~い日記だ。

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